預金(債券)の利回りが低い。これでは銀行に預けていても資産は増えない。昔みたいに年6%とか7%になれば、預金や債券だけでいい。

こんな意見を聞くことがありますが、これが怪しい。


今の日本の金利水準が低いのはその通りです。
普通預金だと金利は年利0.0x%。
メガバンクでは1年定期でも0.0x%。
ネットバンクのキャンペーンでも1%に満たない。
確かに金利は低いです。
今、特約などが無い普通の定期預金で年率6%なんて商品があれば、それは美味しい商品です。


しかし、そういう神の恵みという妄想ではなく、現実的に預金金利が年6%,7%になったとして、それは美味しい投資商品でしょうか?

購買力平価説、金利平価説がキーワードになりますが、金利が高ければインフレ率も高いのです。
名目ではプラス6%,7%でも、インフレ率もその程度まで上昇しています。だから、実質価値の増加は低金利の今とほとんど変わりません。むしろ、インフレ率には下限が無く金利には下限がある分だけ、今の方が実質金利は高いかもしれません。


6%や7%の金利が有利と言う人は、6%や7%の金利水準は高いとしているのでしょう。しかし、そうとは言えません。

日本で金利が6%や7%になる状況はどんな時でしょうか?

国債発行残高増加から日本の財政破綻も囁かれています。
実際に財政破綻があるかは別にして、日本で金利が6,7%まで上昇する時には、国債の入札が不調になって日本(円)の人気・信用度が落ちた結果の金利/物価上昇の可能性があります。

日本国債の信用度が落ちて、金利を高くしないと買ってくれる人がいなくなって、どんどん金利が上がっていく中で6%に到達した。
年6%や7%になれば、預金や債券だけでいい。」と言う人たちはこんな時に「6%はいい商品だ。」と預金や国債などに資金を向けられるのでしょうか?
これ以上の金利上昇を警戒する状況かとも思います。


金利が6%,7%もあればいいなら、高金利な新興国の人たちは固定金利の預金をすればいいという話になりますが、そんなことはありません。
金利が高いには高いだけの理由があります。社債でも金利が高いハイ・イールド債にはそれだけの理由があります。そう簡単にフリーランチはないのです。


金利がある程度高くなって金利を固定した時には、その先に金利が下がることでその固定金利以上に儲かるチャンスも生まれます。そういう意味でチャンスですが「預金(債券)利回りがバブル期ぐらいなら預金(債券)だけでいい」ということはないでしょう。


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