こっそり、毎回楽しみにしているのが、QUICK MoneyLifeの毎月の投信資金流出入ランキング

2010年4月の資金流入トップ30と資金流出トップ30はこちら
(ちなみに2010年3月はこちら)


最近は、野村や大和など大手証券会社は通貨選択型ファンド、人気地域投資ファンド、テーマ型ファンドをいくつか提供しています。
そのせいか、野村が先駆者で大和はその後追いをする形で同類と考えてしまっていていました。しかし、資産流出ランキングを見ると、野村と大和をひとくくりにしてはいけないような気がしてきました。




資金流出ランクの上位を見ると、野村の北米REIT投信(ブラジルレアル)毎月が最近の資金流出ランクの王者グロソブを抜いて1位に君臨しています。
3位のJPM世界鉄道関連株投信と4位野村世界不動産投信も野村のファンドです。
野村はこの他にもトップ10にフォルティス中国環境関連株式投信マイストーリー分配型(年6回)Bコース新米国ハイイールド債券投信(レアル)毎月が入っています。
##JPM世界鉄道関連株投信フォルティス中国環境関連株式投信
##運用会社はJPモルガンやフォルティスですが、募集は野村証券が行った
##ので野村扱いとして考えています。


このように資金流出トップ10に野村関連のファンドが6つもランクしています。
しかし、私が注目したのはその数ではありません。
注目したのはこれらのファンドの設定時期です。

2009/10 : 北米REIT投信(ブラジルレアル)毎月
2010/01 : JPM世界鉄道関連株投信
2005/07 : 野村世界不動産投信
2009/12 : フォルティス中国環境関連株式投信
2005/05 : マイストーリー分配型(年6回)Bコース
2009/05 : 新米国ハイイールド債券投信(レアル)毎月

なんと、6本中4本がここ1年以内に設定されたファンドです。
設定時にはもの凄い資産を集めたということでニュースになったファンドたちですね。
JPM世界鉄道関連株投信に至っては2010年1月に設定です。このファンドは申込手数料が3.675%もかかるのに、設定間もない時期に総資産の約25%が流出する事態です。


一方、大和のファンドを資産流出ランキングで探してみると、いくつか見当たりますが、設定間もないファンドは載っていません。

こう書くと、「それは大和は資金が集まっていないから流出金額も小さいんじゃないの?実は大和も同じようなテーマ型ファンドの資金の流れは野村と同じじゃないの?」という意見もありそうです。

そこで、大和の通貨選択型ファンドであるエマージング・ボンド・ファンド・ブラジルの最近の資産推移を見てみました。野村からは2つのレアルファンドが資産流出ランキングトップ10に入っていましたが、大和のこの看板レアルファンドはどうでしょうか?
エマージング・ボンド・ファンド・ブラジルは3月1日に781億円だった資産総額が2ヶ月後の4月30日には1120億円に増えています。この間の基準価額は、10368円(3/1)→11618円(4/30)ですので、明らかに基準価額の上昇だけでは説明がつかない資産総額の増加になっています。


■結論■
野村も大和もテーマ型や流行のファンドを設定する点では共通している。しかし、その後の販売戦略が違う。こう推測されます。

【野村の方針】
野村は資産流出ランキングに設定間もないファンドを多く滑り込ませていますが、同様に新規設定ファンドを資金流入ランク上位に多く滑り込ませています。2010年4月はトップ3を野村の新規設定ファンドが独占です。
この資金の動きから推測できるのは下記。
「野村は次々に新しいテーマのファンドを設定し、そのたびに旧テーマ型ファンドから新テーマ型ファンドへ買い換えるように顧客に勧めている」

【大和の方針】
大和も2010年4月の資金流入ランキングに次世代輸送関連株ファンドを送り込んでいます。しかし、それでも上に書いたようにエマージング・ボンド・ファンド・ブラジルから特別に資金が流出しているようなことはありません。つまり、
「大和は野村の後追いの形で新しいテーマのファンドを設定しているが、旧テーマ型ファンドから新テーマ型ファンドへの買い換えるようはそれほど顧客に勧めていない」


野村と大和の両社にはこんな違いがあるように見えるのですが、どうでしょう。


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