・STAMシリーズ登場
・eMAXISシリーズ登場
・(SMAMシリーズ登場)
・CMAMシリーズ登場


上記のように各社がインデックスファンドシリーズを販売しだし、インデックスファンドの低コスト化が進んでいます。しかし、今のモデルでは低コスト化は限界が近いでしょう。


中田たろうの投資日記でも取り上げられていますが、STAM、eMAXIS、CMAMの信託報酬の内訳を販売会社、委託会社、受託会社で分解してみます。
アセットSTAMeMAXISCMAM
日本株式
(TOPIX)
販売:0.2205%
委託:0.2100%
受託:0.0525%
販売:0.18375〜0.20475%
委託:0.16275〜0.18375%
受託:0.0525%
販売:0.1995%
委託:0.1470%
受託:0.0420%
国内債券販売:0.2100%
委託:0.2100%
受託:0.0420%
販売:0.18375〜0.20475%
委託:0.16275〜0.18375%
受託:0.0525%
販売:0.1995%
委託:0.1470%
受託:0.0420%
先進国株式販売:0.3675%
委託:0.3465%
受託:0.0630%
販売:0.2835〜0.3045%
委託:0.2625〜0.2835%
受託:0.0630%
販売:0.2835%
委託:0.1785%
受託:0.0630%
外国債券販売:0.3150%
委託:0.3150%
受託:0.0420%
販売:0.2835〜0.3045%
委託:0.2625〜0.2835%
受託:0.0630%
販売:0.2835%
委託:0.1995%
受託:0.0420%


この表の数字で注目したのはeMAXISとCMAMの違いです。

国内株式と国内債券では信託報酬合計では0.0315%の違い(eMAXIS:0.42%、CMAM:0.3885%)があるのですが、販売会社の取り分はほとんど違いはありません。
場合によっては総信託報酬が少ないCMAMの方が販売会社の取り分は増えています。一方、委託会社の取り分はCMAMでは0.1575%〜0.3675%減っています。
この傾向は海外アセットでも同じです。CMAMでは総信託報酬が0.105%下がっていますが、そのほとんどは委託会社分の引き下げによって達成されています。


上記からの推測になりますが、CMAMとeMAXISが提示している販売会社取り分がほぼ限界ということを示唆しているように感じられます。
そして、CMAMでは委託会社の取り分が海外モノでも0.1%台まで低下しており、委託会社分の削減可能幅はそう残されていません。


STAM→eMAXIS(→SMAM)→CMAMとネット証券での販売を中心にした新ブランド参入でインデックスファンドの低コスト化が急ピッチで進んでいます。
しかし、この方法でのコスト引き下げは限界は近く、更なる低コスト化のためには何かBreakthroughが必要となりそうです。


○候補その1:DC専用→一般へ
ニッセイ日経225インデックスファンドでは。販売会社分を0.1155%とし、総信託報酬0.2625%を実現しています。ニッセイ日経225インデックスファンドは新規で立ち上げたのではなく、DC専用で残高を積み上げてから一般解放でした。日経225連動のインデックスファンドの多くが資産流出に苦しむ中でも順調に純資産総額を積み上げています。ニッセイ日経225インデックスファンドの方法は他のインデックスでも使えるかもしれません。

○候補その2:同一グループで販売/委託
委託会社と販売会社を同じグループに持つ会社であれば、信託報酬引き下げという手も打てる可能性があります。
販売会社と委託会社の取り分をどう配分しようが、最終的には受託会社取り分以外は全部自分のところに入ってくるのですから、販売会社に高い手数料を払う必要はなくなります。ただし、この方法では自グループ内の販売会社にしか使えないという欠点はあります。

○候補その3:直販
海外だとバンガードがやっている形式です。候補その2の中に含まれそうですが、分けてみました。運用会社(委託会社)が直接投資家に販売することで販売会社へ払うフィーが削減できます。これで、さらなる信託報酬の低減も狙えます。
運用資産の規模が小さいと販売を内製化することによって多くのコストがかかるので二の足を踏む企業が多いでしょう。しかし、さらなるコスト競争を続けてインデックス投資家の資産を集めたいならば、検討せざるを得ない段階にきているように感じます。


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