インデックス運用が真に目指すベンチマークは? Vol.1からの続きです。

前回は、インデックスファンドTSPや他の配当を含めない指数をベンチマークとしているインデックスファンドでも配当によるプラス効果を甘んじて受け入れてベンチマークを上回るパフォーマンスを出していることから、インデックスファンドは目論見書他に記載しているベンチマークに連動することを目指していないという仮説を立てました。
今回は、その仮説が正しいと仮定しての話です。

インデックスファンドが目論見書他に記載しているベンチマークに連動することを目指していないとするならば、インデックスファンドは真にベンチマークとしているのは何なのでしょう?

まず、配当込みインデックスが思いつきます。しかし、配当込みインデックスは違うと思いますし、そうであってほしいと願っています。
帰無仮説:インデックスファンドが目指している運用成績は配当込みインデックスである

インデックスファンドの運用では以下の式が成り立ちます。
インデックスファンドのリターン = (配当抜き)インデックス + 配当 - 信託報酬他の削減不可コスト - 変動コスト
(最後の変動コストは保管料や売買コストなどです)

売買コストなどの変動コストは、先物を利用したり、抽出法等を用いたり、デリバティブを利用することでできる限り少なくすることができます。その極限は0になります。しかし、投資信託では目論見書で明示している信託報酬コストや監査コストなど、絶対に削ることができないコストが存在します。
つまり、完全にパッシブ運用をすると、確実に配当込みインデックスよりコスト分だけアンダーパフォームします。
→結論:インデックスファンドは確実にかかるコスト分だけ配当込みインデックスに届かないので、帰無仮説は棄却されます。
納得しましたか?
納得しない方もいるかもしれません。
実は私も上の説明だけでは納得できません。上の論理の成立には、あくまで完全にパッシブ運用をするという条件がついています。
インデックスファンドがパッシブ運用せずに確実にかかるコスト分を挽回するような行動をとれば、配当込みインデックスへの連動を目指すことができます。

しかし!!
お気づきの方も多いでしょうが、その場合は別の大きな問題が発生します。
インデックスファンドは原則としてパッシブ運用を行うことを期待されています。インデックスファンドが信託報酬や監査報酬などの確実にかかるコスト相当分のアルファ(超過リターン)を狙いに行くことが正しい姿なのでしょうか。
"確実に"信託報酬や監査費用分を挽回する方法は無いはずで、そのリターンを得るためにはリスクが伴います。マイナスに作用する可能性も高い。
結果的に信託報酬や監査費用分を取り返して配当込みインデックスと同じだけのパフォーマンスを残せるかもしれませんが、それは結果論です。こんな運用をされていたら安心してインデックスファンドに投資できません。

でも、そのような運用をしている可能性はきわめて低そうです。実際のインデックスファンドの運用成績を見ると、新興市場などを除いて規模が大きいインデックスファンド間ではそれほどあまり差はありません。0.4%-1%近くの超過リターンを狙って運用しているにしては結果が安定しすぎています。

上のようなインデックスファンド=配当込みインデックスへ連動を目指すためのアクティブ運用のファンドということはなさそうです。

それでは、何に連動を目指しているのか・・・

(続く)



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